v0.39 アップデートハイライト
リリース日:2026年7月29日/タイトル:Long Time, Now See v0.39
BeamNG開発チームが「過去最大規模のアップデート」と表現する大型アップデートです。グラフィックの全面刷新、UIの全面刷新、新車両、そして車両間の空力干渉という新しい物理システムまで、あらゆる領域に手が入りました。
このページは主要な変更点を分野ごとにまとめたものです。変更点の全リストは パッチノート一覧 および公式パッチノートを参照してください。
一目でわかる主な変更
| 分野 | 内容 | 詳細ページ |
|---|---|---|
| 車両 | 新車 Cherrier Ardente を追加 | Ardente |
| 車両 | 全車のライト配光がリアル化、可動式サンバイザー追加、車内トリガー拡充 | 車両情報 |
| 物理 | 車両間の空力干渉(スリップストリーム等)を実装 | ドライビングテクニック |
| グラフィック | 影システム刷新、ボリュメトリック雲、物理ベース夜空、HDR出力、D3D12標準化 | グラフィック設定 |
| UI | ポーズメニュー全面刷新、オプションV2、フォトモード刷新、「UIアプリ」→「HUDアプリ」改称 | ポーズメニュー |
| ゲームプレイ | フリーロームチュートリアル、タクシー、フリーフォーム配送ミッション、実績50種以上 | フリーローム |
| ラリー | プロ制作ペースノート、新ループ NGRC Rally Utah 2026、ペナルティ刷新 | ラリー |
| マップ | West Coast USA の建物リマスターと夜間照明、East Coast USA に一時停止標識データ | マップ情報 |
| 最適化 | メモリ使用量の大幅削減 | 推奨PCスペック |
1. 新車両:Cherrier Ardente
Cherrier待望の 2ドアクーペ です。ベースはVivace/Togracと同じFCVプラットフォームですが、彫刻的なモダンな外装とドライバー志向のスポーティな内装で、まったく別物の顔になっています。開発チーム自ら「これまでで一番かっこいい車かもしれない」と語る自信作です。
- パワートレインは ガソリン/ディーゼルのFWD・AWD、EVのRWD・4×4 と幅広い
- 純正・カスタム合わせて 19コンフィグ
- 競技仕様は Race / Trackday / Gravel Rally / Asphalt Rally の4系統
- 格納式ダックテールスポイラー、シーケンシャルLEDウインカー、ワイドボディキット、専用リバリーなど装備・カスタマイズも充実
| 主なグレード | 出力 | 特徴 |
|---|---|---|
| Ardente Pure 190d | 192 HP | 2.0L 4気筒ディーゼルターボのベースモデル |
| Ardente S 410Q Frisson | 406 HP | 5気筒ターボ+AWDの最上位ファクトリー仕様 |
| Ardente Sport Lumiere | 508 HP | 4輪駆動EVの高性能版 |
| Ardente Street Tuned | 503 HP | N2O付きストリートチューン。最高速303.7km/hでシリーズ最速 |
| Ardente Gravel Rally | 381 HP | グラベルラリー仕様。ゼロヨン12.33秒はシリーズ最速 |
→ 詳細:Cherrier Ardente
2. グラフィックの全面刷新
v0.39で最も大きく変わったのがグラフィックです。アップデート後は一度グラフィック設定を見直すことを推奨します。
影システムの刷新
- 走行中・カメラ移動中の影が大幅に安定化
- ホイールや車体から 影が「剥がれて」浮いてしまう問題を修正
- VRで左右の目に影が正しく揃わない問題を修正
- 太陽の移動・時間帯の変化によるちらつきが大幅に減少
- 影カスケード間のブレンドが滑らかに
- スクリーンスペースシャドウ、SDSM、PCSSソフトシャドウ、車両専用シャドウを追加
空・光の表現
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| ボリュメトリッククラウド | 完全なボリューム表現の雲。手続き的な気象マップを持ち、雲による影の落ち込みも再現 |
| 物理ベースの夜空 | 実際の天文データに基づく星空。天の川の描画と星座データベース を収録し、緯度・経度・日付・時刻に同期する |
| 多重散乱スカイ | 球面調和関数ベースの動的アンビエントライティング。時間帯ごとの空と環境光がより自然に |
| 物理的に正しい光の減衰 | 従来の減衰モデルを 逆二乗則ベースの物理モデル に置き換え |
| クラスタードシェーディング | 夜間の光源をより多く・高速に処理できる新経路。影付きライトの増加、遠方ライトのLODフレアにも対応 |
| フォグの改善 | 高度フォグ・大気フォグの両方が光を考慮するようになり、太陽の散乱と空のアンビエントを反映 |
出力・トーンマッピング
- HDR出力に対応(Vulkan / Direct3D 12、HDR10・scRGB、Windows / Linux)
- オートエクスポージャー を追加。明所・暗所の移動で人間の目のように明るさが順応する
- GT7トーンマッピング を実装。従来のACESトーンマッパーを置き換え、写真に近い自然な色再現に
- Direct3D 12 がWindowsの標準レンダラーに。VulkanとD3D12は排他フルスクリーンにも対応
その他
- GTAOの刷新(ノイズを完全除去、精度向上)
- サブサーフェススキャタリング(植生の葉の光透過)
- 再帰反射(道路標識・ナンバープレート・警察リバリー)
- モーションブラーの品質向上とアーティファクト低減
- 3D草の追加、葉の透過表現
- 旧来の ライトレイ(光線)システムを廃止、ブルーム設定を削除(挙動は新トーンマッピングに統合)
→ 詳細:グラフィック設定
3. UIの全面刷新
新しいポーズメニュー
ポーズメニュー(ESCメニュー)がゼロから再設計されました。上位カテゴリは タブ、その先は パンくずリスト で、「戻る」の挙動が一貫します。ゲームパッドでの操作性改善 が最大の狙いです。
| タブ | 役割 |
|---|---|
| ホーム | 現在のゲームモード情報、周辺アクティビティ、車両選択・ビッグマップ・フォトモードへのショートカット |
| システム | 設定、MOD、HUDアプリなどシステム関連 |
| 車両 | 車両選択、パーツ構成、チューニング、塗装、修理、AI操作 |
| 環境 | 時間、天候、トラフィック、シミュレーション |
| キャリア | キャリアモード専用の各画面 |
新たに 車両管理フロー が追加され、スポーン済み車両をカード形式で一覧表示し、切り替え・修理・複製・削除・AIモード設定をまとめて行えます。
「UIアプリ」→「HUDアプリ」に改称
ゲームプレイHUDの一部として表示されるアプリ、という役割を正確に表すための改称です。レイアウトエディターも刷新され、コントローラーだけで完結する操作フローになりました。すべてのUIレイアウトをいつでも自由に編集できる ようにもなっています。
オプション画面 V2
- Vueへ全面移植、スキーマ駆動のバックエンドに刷新
- 負荷の重いグラフィック設定も 進行状況を表示しながらライブ適用
- 解像度など重要な変更は カウントダウン付きの確認。承認しないと自動的に元に戻る
- MODから独自のオプションタブ・ボタンを追加可能に
オプション画面は調整中で、カテゴリ分け・並び順・項目の配置は今後変更される可能性があります。
フォトモード刷新
- カメラ/シーン/エフェクト/オーバーレイ/キャプチャの5カテゴリに整理
- 設定を プリセット として保存・復元。プリセットはスクリーンショットのメタデータにも保存され、他プレイヤーと共有できる
- ゲーム内 ギャラリー を追加。撮影画像を閲覧し、そこからプリセットを読み込める
- カメラフラッシュ(撮影時のみ/常時点灯を選択可)
- モーションキャプチャ(一瞬だけシミュレーションを再開してモーションブラー付きの写真を撮る)
リプレイUI刷新
HUDアプリを配置しなくても、ポーズメニューから録画・キャンセル・一覧・再生をすべて操作 できます。リプレイHUDアプリは非推奨(廃止)になりました。
4. 車両ライトのリアル化
車両のライトの扱いが根本から変わりました。
- ライトが物体を照らす際の 配光パターンがリアルに(全車両)
- 電球(バルブ)が共通パーツ化 され、車両間で共有される
- ヘッドライトとフォグランプは 仕向地(EU / US / 左ハンドル / 右ハンドル)と 技術世代(6V / シールドビーム / 白熱 / ハロゲン / キセノン / LED など)で異なる配光を投射
- 明るさ・照射距離・色は バルブの種類とワット数 で決まる
- ライトのマテリアルは旧来のエミッシブ方式から 実際のニト(輝度)値 ベースへ
→ 詳細:車両情報
5. 新しい空力物理:車両間の相互作用
これまで各車両の空力は 独立して 計算されていましたが、v0.39からは 走行中の車両が近くの車両の受ける気流を変化させます。
| 現象 | 内容 |
|---|---|
| スリップストリーム | 前車の後流に入ると空気抵抗が減少。加速しやすく、同じ速度をより少ないアクセル開度で維持でき、燃費も向上する |
| バンプドラフト | 2台がほぼ縦一列で密着すると、後続車が前車後方の低圧領域を埋める。前車の抵抗も減る ため、接触前から前車にも有利に働く |
| サイドドラフト | 追い抜く側が前車の真横に並ぶと、前車のリア周りの気流を乱して減速させられる。ただし直後に横間隔を開けないと同じ技を仕掛け返される |
この干渉は車だけでなく BeamNGの物理を使うpropやオブジェクトにも作用します。十分な速度のトラックがそばを通過するだけで、接触していない旗竿が倒れることもあります。
→ 詳細:ドライビングテクニック
6. ゲームプレイの新要素
フリーロームチュートリアル
メインメニュー → クイックスタートエクスペリエンス から開始できる公式チュートリアルです。運転支援の設定と発進から始まり、カメラ・リカバリー・車両のスポーンと削除・ウォーキングモード・車両カスタマイズ・マップの見方を学べます。マップ内を探索すると、ラジアルメニュー・車両トリガー・天候変更・ミッション・トラフィックの追加レッスンも見つかります。
タクシー
フリーロームとキャリアの両方でタクシーを呼べるようになりました。フリーロームでは設定で有効化が必要(トラフィックの再起動が必要)、キャリアでは常に有効です。乗り込むとビッグマップが自動で開き、目的地を選ぶと運んでくれます。走行中に停止・スキップ・急がせるといった指示も可能です。キャリアのタクシーには運賃が発生します。
新ミッションタイプ:フリーフォーム配送
車を降りて別の車両や重機を使ったり、トレーラーを手動で連結したりと、複数工程を自分の手でこなす 配送ミッションです。新規3ミッション(Wreck Fetcher / Block Handler / Cargo Shifter)に加え、既存の配送ミッション12本がこのタイプに変換されました。
実績
50種類以上の実績 が追加されました。キャリアモード(WIP)のプレイ、フリーロームでのミッションクリア、フリーロームチュートリアルの完了、車両の各種改造などで解除できます。
パフォーマンスインデックス(PI)
加速・最高速・制動の標準テスト結果から車両性能を1つの数値で表す指標です。AIレースで プレイヤーの車両に近いPIの対戦相手が選ばれる ようになり、ミッションによってはPIによる車両制限も課されます。
車両の不安定化時の挙動
車両が物理的に破綻しても 物理演算が一時停止しなくなりました。短時間に何度も破綻する車両(壊れたMODなど)は自動削除されます。従来の挙動は「不安定時にゲームを一時停止」設定で戻せます。
7. ラリーモードの大幅強化
3種類のペースノート
| スタイル | 内容 |
|---|---|
| プロ (Pro) | 2024年英国ラリー選手権のコドライバー Alex Kihurani 氏が全ステージ・全ループ向けに書き下ろし、収録した完全専用ペースノート |
| エンスジアスト (Enthusiast) | 約200種類の固有コールを組み合わせるリアル志向のペースノート |
| カジュアル (Casual) | 入門者向け。コーナーを「イージー/ミディアム/ハード」で呼ぶ |
新ループ:NGRC Rally Utah 2026
BeamNG初の 全区間グラベル のラリーループです。Utah, USA を舞台に、4本のスペシャルステージ(SS合計 16.4km/ループ全長 30km)で川の渡渉、高速ジャンプ、剥き出しの峡谷区間を走ります。
ペナルティ・リカバリーの刷新
「厳しすぎない・楽しい」方向に見直されました。リカバリーはルート認識型になり、コースアウトした地点に戻され、燃料残量も保持 されます。SSでのリカバリーは明示的なペナルティではなく レースクロックを5秒進める 形になりました(観客に押し戻してもらう想定)。
その他
- スタータイム:全ステージ/ループにゴールド/シルバー/ブロンズのタイム目標を設定
- バーチャル対戦相手(実験的):ペース/安定性/リスクの3特性を持つオフライン対戦相手と競える
- リエゾン交通:ステージ間の移動区間で一般交通の中を走る
- コドライバー選択:ミッション開始画面で選択可能に
- ラリーエディターの改善:自作ステージの制作が容易に。任意の言語でコドライバー音声を録音できる
→ 詳細:ラリー
8. マップの更新
West Coast, USA
- 夜間照明を追加。街灯や建物の照明が夜に点灯し、夜のベラスコ・シティの表情が一変
- 全建物のマテリアルとLODを刷新。すべてのマテリアルをPBRに変換し、建物ごとに専用LODとベイク済みマテリアルを用意
- 建物をシングルインスタンス方式に変更
East Coast, USA
- 一時停止標識(Stop Sign)のデータを追加。AI操作の車両が一時停止標識を認識するように
全マップ共通
- ライティング・環境設定を新システムへ全面移行(空・雲・月・フォグ・キューブマップ・反射)
- アンビエンス(環境音)を全マップで刷新
- 植生・グラウンドカバーを更新。葉の透過表現と3D草を追加
- ほぼ全マップで道路ナビゲーショングラフを改善し、トラフィックの流れが向上
→ 詳細:マップ情報
9. オーディオ
- Forest Audio Editor を追加。風と植生の動的なアンビエンスを作成できるエディターで、各種バイオームを表すFMODイベントのプールから選択できます。カメラの移動に応じて森のアイテムサイズ・密度・方向・距離を取得し、音を変調します
- 油圧サウンドの全面刷新。油圧ポンプの音がポンプの回転数・流量・抵抗に応じて動的に変化。トラックや重機でエンジン回転に合わせてポンプの音程が変わります
- FMODを最新版(2.03.14)にアップグレード
10. 最適化
開発時間の大部分がメモリ管理の最適化に充てられました。メモリ最適化はフレームレート向上を意味しません。 効果はスペックによって異なります。
| 環境 | 効果 |
|---|---|
| RAM・VRAMに十分な余裕がある | メモリ最適化の恩恵はほとんどない |
| ぎりぎり足りている | かろうじて収まっていたコンテンツが収まるようになり、フレームレートが改善する場合がある |
| 不足している | これまで読み込めなかったマップや車両が読み込めるようになる可能性がある |
低下が体感しやすい場面:ロード中のメモリ使用ピーク/マップ読み込み後の使用量/1セッションで複数マップを読み込んだときの使用量/車両を複数スポーンしたときの使用量。
フレームレートについて: 今回は視覚品質の向上幅が過去のアップデートより大きく、最適化で相殺しきれなかった と公式が明言しています。すべてのプリセットが再調整され、同じ名前のプリセットでも従来より見た目が向上しています。今まで使っていたより一段低い設定を試してみるのがおすすめ です(最低プリセットを使っていた場合、影響は軽微とされています)。
→ 詳細:推奨PCスペック
アップデート時の注意点
VR
描画エンジンの大改修の影響で、v0.39ではVRが従来より不安定になる可能性がある と公式にアナウンスされています。今後のアップデートで対応予定とのことです。
MODの互換性
破壊的変更が複数あり、これまで動いていたMODが動かなくなる場合があります。
| 対象 | 内容 |
|---|---|
| ナンバープレートMOD | システムが全面的に作り直され、既存MODのほとんどは非互換。作者による変換が必要 |
| リプレイHUDアプリ | 非推奨(廃止)。録画・再生はポーズメニューから |
| 翻訳ファイル | 言語ごとに1ファイルだった構成が、言語ごとのフォルダに複数ファイルを置く形式に変更 |
| ミッションMOD | 該当レベルのIDに対応するサブフォルダに置かないと認識されない |
| 油圧サウンド | イベント名が変更されたため更新が必要 |
| UI MOD | 主フレームワークがVueに移行 |
→ 詳細:MODのトラブルシューティング/開発者向け情報
設定の見直し
グラフィック設定は追加・削除・名称変更が多数あります。アップデート後は一度 グラフィック設定 を確認することを推奨します。
今後の予定
PS5版について
先に発表されたPS5版は 2026年内のリリースを予定 しています。ただし公式は「初めての取り組みで不確定要素が多いため、確約できない時期を約束することは避けたい」としており、具体的な日付は示されていません。PC版のアップデートも並行して進められています。